令和4年第3回定例会 総括質疑【その3】地域共生社会の実現について

令和4年9月26日の決算特別委員会総括質疑のつづきです。

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3.地域共生社会の実現について

ヤングケアラー支援について

質問①

間の質問

国は今年度から3年間をヤングケアラー支援の集中取り組み期間としており、昨年の私の一般質問の中ではモデル事業への手上げや国の支援メニューを活用してはどうかと伺いました。
支援体制の現状について、伺います。

担当課長の答弁

区では地域共生社会の実現のため、支援が必要なすべての人を対象とした地域包括ケア体制を構築することを目指しております。その手段の一つとして、包括的相談支援、重層的支援体制整備事業を進めているところです。

質問②

間の質問

地域包括ケア総合アクションプランの着実な実施が求められる中で、地域共生社会や地域包括ケアの理念の共有は欠かせないことですが、決算説明書(P.349)地域包括ケア理念共有事業費は執行額193,760円で不用額239,131円、執行率は約44%でした。こちらについてご説明ください。併せて、今後の理念共有はどのようにされていくのか伺います。

担当課長の答弁

地域包括ケア理念共有事業として、意見交換を兼ねたシンポジウムを開催した経費でありまして、執行額の大部分は会場使用料の13万7000円です。また、不用額の主な理由は、企画内容の変更により不用となった学識経験者への謝礼金10満5000円と手話通訳、要約筆記の申込者がいなかったことによる残額9万7000円です。今後につきましては、意見交換会やシンポジウムの開催の他、区民に効果的に周知を行うため、広報活動に注力してまいります。

シンポジウムはアウトリーチチームの活動など普段見えない中野区の地域包括ケアの姿が見える大変有意義な機会です。一方で、参加者が関係機関や団体・個人にとどまっている部分が非常にもったいなく感じており、周知方法も併せて拡充して頂きたいです。
地域の多様な人々 が世代や分野を超えて「丸ごと」つながっていくためにも様々は切り口からの理念共有の徹底をお願いいたします。

質問③

間の質問

国は今年度から3年間をヤングケアラー支援の集中取り組み期間としており、昨年の私の一般質問の中ではモデル事業への手上げや国の支援メニューを活用してはどうかと伺いました。
支援体制の現状について、伺います。

担当課長の答弁

ヤングケアラーの支援の現状は、NPO法人が実施する事業に協力し、南部すこやか福祉センター圏域において地域連携協議会を設置し、実態把握のための調査、支援の在り方等の検討を始めたところです。

質問④

間の質問

その協議会の中での区の役割は何でしょうか。また、どのような意見が出ているのでしょうか。

担当課長の答弁

区は、すこやか福祉センター、区民活動センター、児童館、スクールソーシャルワーカー等の職員が委員やオブザーバーとしてこの地域連携協議会に参加し、他の委員と共に具体的な支援の検討を行い、地域におけるネットワークを構築しています。また、この地域連携協議はこれまでに2回開催していますが、実態調査の進め方、支援の施策、課題等についてご意見をいただいています。

質問⑤

間の質問

委員やオブザーバーとして関わる中で今年度のこの取り組みを、今後の区の施策にどのように活かそうとお考えでしょうか。

担当課長の答弁

地域連携協議会で行った実態調査、支援の在り方の検討内容を踏まえて前駆的に取り組むべきことを整理し、次年度の施策展開に活かします。

質問⑥

間の質問

協議会の構成員の中からも地域包括ケア推進会議にヤングケアラー支援の部会を作り、協議会メンバーにも入っていただいてはいかがでしょう。

担当課長の答弁

ヤングケアラー支援について、全区的に検討する場の設置を検討していきたいと考えております。その際は、南部すこやか福祉センター圏域での活動実績を踏まえ、現在の地域連携協議会の構成員にもメンバーに加わっていただくべきと考えています。

質問⑦

間の質問

ヤングケアラーに関して、「見つけていく」役割は、日常的に子どもたちと接している学校の先生などのご協力が欠かせません。子ども・若者支援センターや学校現場との連携はどのようにされていますか。 

担当課長の答弁

現在でも、ヤングケアラーに関わらず、各機関で支援が必要な子どもの発見や相談があった場合、関係する機関とともにケースの検討会議を行うなど連携を図っています。今後も重層的支援体制の中で地域の関係者などにも支援の輪を広げ、本人と家族の状況に応じた支援を行っていきます。

質問⑧

間の質問

支え合い推進部の取り組みに加え、ヤングケアラーの発見から支援への接続は学校での取り組みなくして成し得ません。学校での取り組みの現状を伺います。

担当課長の答弁

学校は今までも、子どもたちの生活指導上の課題や不登校傾向の背景としてヤングケアラーのような状況があることを捉えてきております。子どもたちの家庭生活の状況については、服装や忘れ物、生活リズムの乱れなどによっても把握しています。教員が兆候を見つけた場合は校内で情報共有し、スクールカウンセラーとともに対応したり、学校からスクールソーシャルワーカーや子ども家庭支援センターなどの関係機関につないだりしてきています。

質問⑨

間の質問

教員が子どもの変化にいち早く気づき寄り添うことは最初の一歩として本当に重要であると考えます。その上で適切な支援につなげていくためには、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、教員など学校現場で働く大人が研修等でまずヤングケアラーについて学ぶ機会をつくることや、支援機関と支援メニューの一覧表を作成し配布するなども必要ではないでしょうか。その他保護者や地域の大人を含め、大人が学ぶ機会の創出について昨年の第二回定例会でも求めました。今後の学校での取り組みについてお考えを伺います。

担当課長の答弁

今年度は、東京都のヤングケアラーに関する教職向けデジタルリーフレットや、相談専用ダイヤルを学校に周知しました。今後、ヤングケアラーの概念等を学ぶ機会を設けてまいります。また、学校間で対応事例を共有していきます。

最も大切なのは、「どんな小さな悩みでも、つらいとかモヤモヤを感じたときはいつでもSOSを出していいんだよ、これだけたくさんの相談相手・相談先があって、相談しやすいと感じる人に相談ができるよ」というメッセージを伝えることなのだと思います。その上で、ヤングケアラーであった場合に適切な支援につなげられるよう、学校現場でも理解を深めていただきたいと思います。

質問⑩

間の質問

自分がヤングケアラーであると認識していない当事者も多く、子どもたち自身がヤングケアラーの存在について知ったり、元ヤングケアラーの話を聞ける機会をつくることが重要です。ヤングケアラーの周知の際に、子ども・若者支援センターや子どもの権利救済相談・調査専門員のいる子ども相談室に相談ができるということも併せて周知を行ってはいかがでしょうか。

担当課長の答弁

ヤングケアラーについて多くの区民に認識してもらうため、子どものみでなく大人にも周知を行うべきと考えています。また、周知の際は相談ができる機関として、すこやか福祉センターなどと共に子ども・若者支援センターや子ども相談室の他、民間支援団体など様々な機関で相談できる旨の周知を行っていきます。

質問⑪

間の質問

ヤングケアラー問題は複雑化・複合化した課題から生まれているケースも多いと聞きます。学校現場での発見、介護のケアマネさんからの発見などとにかく早期に発見してあげることとその子に合った支援を早期に届ける体制づくりを1日も早くお願いいたします。
また、18歳未満のヤングケアラーだけでなく若者ケアラー、ケアラーと人生のさまざまな
ステージで家族のケアをする全ての人が自分らしく生きられるための、ケアラー支援条例の検討も視野に入れていく必要があると考えますがいかがでしょうか。

担当課長の答弁

ヤングケアラーを含むケアラー条例については、先行して制定している他自治体の例も参考にしながら研究を進めていきます。

 

公益活動推進について

質問①

間の質問

令和3年度主要施策の成果(P.110)によれば、令和2年度コロナの影響で半分近くにまで落ち込んだ政策助成の交付件数が36.1%増となり、厚生委員会での報告では今年度もさらに増加し令和元年度並みの数字を取り戻しつつあります。
❶単純計算できませんが、交付1件あたりの人件費と政策助成交付件数で見ると令和3年度は人件費が800万円余で160万円ほど上がっていると思います。これは、区民公益活動支援の拡充のためでしょうか、こちらの増の理由を伺います。

担当課長の答弁

令和2年度は新型コロナの影響により事業の実施見送り等で活動が低迷し、前年度に比べ政策助成交付申請事業数が減少していました。令和3年度に人件費が増加した理由としては、政策助成事業の合同説明会2回に加え、事前予約制オンライン面談など個別相談の実施や、前年度助成金申請を見送っていた団体に対し個別ヒアリングを行うなど、助成金の活用や事業の再開に向け、相談支援体制を強化・拡充したものです。人件費の増加については、職員の業務増加見合いによるものです。

質問②

間の質問

1交付あたりの助成額にあたっては年々増加傾向にあり、令和元年度に103493円だったものが令和3年度は135153円へと28.8%増加していますが、こちらをどう分析されているのでしょうか。

担当課長の答弁

令和元年度までは、団体からの申請額が助成金事業の予算の範囲内で収まらず、申請額を割り落して交付していた経緯があります。令和2年度は公益助成、公益活動活性化の推進を強化するために予算の増額を行い、申請額の割り落しをなくし、交付したことが助成額の増加要因と考えています。同時に、4月から1週間でした申請期間を3か月に延長したほか、9月から3か月間追加募集を行うなど、長期にわたる申請期間の間、団体から助成対象経費についての相談を受け、団体に寄り添った支援ができたことも要因の一つと考えています。令和3年度も同様の考えにより予算を計上し、申請期間を2か月間に設定したほか、訳2か月間また追加募集も行い、新たに個別相談を受けるなど、相談支援体制を強化したことも要因の一つと考えています。

助成制度の在り方自体については後ほど斉藤議員から質疑がありますので割愛しますが、使い易い制度であるとともに助成事業の費用対効果も見た上で適切な中間支援を行える体制づくりが必要であると考えます。

質問③

間の質問

地域共生社会の実現に向けて、区民による公益活動による下支えは欠かせません。公益活動を行う個人や団体の中間支援の必要性については厚生委員会の中でも報告があり、議論されてきたところです。
区有施設整備計画では、先ほども出ました産業振興センター跡施設の活用の考え方として「公益活動を主体とする複合交流拠点」であることと、「シルバー人材センターの事務所機能や中高生の交流・活動支援の場としての活用」が示されています。
他方、本年6月30日の総務委員会の報告事項「新庁舎整備事業の検討状況について」の中でも、地域活動推進機能として公益活動推進のための地域団体の相談や運営支援、団体間の交流ができるスペースとして検討していく旨が報告されています。限られた区有施設をどのように公益活動推進に活かすべきか…一度整理したほうがいいのではと考えます。若者施策のねらいの一つには「若者と地域とのつながりの構築」があり、公益活動支援事業と方向性が一致しています。そういった点も考慮し、「公益活動を行う個人や団体の活動支援と交流を図る拠点」を構築していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

担当課長の答弁

産業振興センターあと施設については、公益活動を主体としたものとする考えです。その施設のコンセプトや具体的な機能の検討はこれからで、現在の建物の面積や仕様も含めて検討したいと考えています。

質問④

間の質問

公益活動の支援においては各地区における活動拠点の充実も必要です。地域において活動をされている団体、特に子育て支援団体においては活動場所の確保に困っているという声を多く聞いており、令和4年第1回定例会の私の質問に対し、「具体的な支援を検討したい」とのご答弁でした。
区長は、令和4年第2回定例会の施政方針において、「高齢者会館における多世代交流や施設のシェア利用など施設の有効活用の検討を進めていく」と表明されました。地域における公益活動場所として区民活動センターがありますが、利用者の利便性の向上と更なる活動場所の充実に向けて併せて検討を進めていただきたいと思います。区民活動センターの利便性向上については、どのような検討をされているのでしょうか。また、高齢者会館は夜間・土日・祝日の利用者が少ないと聞いています。より多くの団体が利用しやすい施設となるよう、利用者の利便性にも配慮し、区民活動センターと同様に受付管理人を配置するなど検討し、更なる有効活用を図って頂きたいと考えますがいかがでしょうか。

担当課長の答弁

区民活動センターについては、集会室予約方法や利用要件、空き情報の可視化などにつきまして検討を進め、利便性の向上を図っていきます。高齢者会館も地域の様々な活動、交流の場としてより使いやすいものとしていく必要があると考えていますが、現在、夜間、土日、祝日におきます集会室利用は団体による自主管理方式となっており一般の団体が活用しづらい状況となっています。こうした状況を改善するため、貸出業務についての委託化など利便性を高め、活用を推進する方策を講じることを検討します。