大阪市・西宮市視察(2022/12/22,23)

「中野駅周辺の再開発計画が進む中で、中野駅北口の特徴的な街並みを守っていけないか?」「まちの価値を高める景観の考え方は?」そんなことを考え、中野区議会 建設委員会所属の2人と一緒に、まちづくり関係を主とした視察に行ってきました。

【視察先と視察内容】

1日目 大阪府大阪市:連担制度による法善寺横丁のまちなみ再建について
2日目 兵庫県西宮市:景観・まちづくりについて

1日目 大阪市:連担制度による法善寺横丁のまちなみ再建について

大阪のなんばと道頓堀の間にある法善寺横丁は、古き良き街並みが特徴的です。幅2.7m、全長70mほどの通路の両サイドには風情ある建物のお店が建建ちんでいます。歴史がある通りに感じますが、実は20年ほど前に2度の火災に見舞われ、再建したエリアです。

 

法善寺横丁は道路幅員が4m未満(当時約2.6m)の2項道路に面しており、建築物を建てる場合は約70cmのセットバックが必要なため、個別に建替える方法では再建が難しい状況にあるなど、当時大きな法の壁が立ちはだかりました。そんな中猛スピードで事が進み、見事に再建を果たすことになった手法が「連担制度(連担建築物設計制度)」の適応と建築協定の締結でした。
 
その他一度目の火災の責任者が大手ゼネコンの竹中工務店だったことや、法善寺横丁の地主が法善寺1者かつ地権者も少なく早期の合意形成がしやすかったことなど条件が重なり、信じられないスピード感を持って再建が進みました。

連担制度(連担建築物設計制度)とは?

連担建築物設計制度(法第86条第2項)は、特例的に複数建築物を同一敷地内にあるものとみなして建築規制を適用する制度です。
特定行政庁が、その位置及び構造が安全上、防火上、衛生上支障がないと認める建築物については、接道義務、容積率制限、建ぺい率制限、日影規制等が、同一敷地内にあるものとみなして適用されます。(
 
参考:一団地建築物設計制度(法第86条第1項)が原則として新規の複数建築物を認定するのに対し、連担建築物設計制度は既存建築物の存在を前提として認定します。

東京都都市整備局HPより

 

連担制度の適用にあたっては、以下の基準を設けたとのことです。
○通路幅員は、2.7 m以上とする
○階数は 3 以下とする
○構造は耐火建築物とする
○3階の外壁を後退させ、避難のためのバルコニー及び避難器具などを設ける
○通路部分には、通行の支障となる看板等は設置しない

連担制度の活用の中でもかなり特殊なケースではありますが、だからこそ参考事例として学ぶことができとてもよかったです。

参考資料
法善寺横丁復興の道のり
法善寺横丁再建の連担制度の活用にかかる資料(国土交通省)

2日目 兵庫県西宮市:景観・まちづくりについて

昭和63年から「西宮市都市景観条例」を制定し景観まちづくりに取り組んでこられた西宮市。町全体を景観計画地区とし、4つのゾーンと9つのエリアに分け、重点景観地区やそれぞれの立地特性に合わせた景観計画を作成・実施しています。

中野区でも景観方針が2022年6月の策定されましたが、他の自治体の事例を参考にしながらより良い景観まちづくりを行っていただきたいと思います。
また、中野駅周辺の再開発においても、エリアごとの開発で景観の連続性がしっかりと考えられるよう求めていきます。

参考資料
西宮市景観計 2022年10月策定